カフェについて
私たちのカフェは、セルビアの首都ベオグラードにあります。
そしてカフェの名前はセルビア語で「Zvuci srca」日本語にすると「心の音」になります。
こちらのカフェは同じ建物内にワークショップとグッズ販売店が併設されており、毎日障害者約15名近くとスタッフ約4名が一緒に仕事をしています。
勤務している障害者は曜日や時間帯でシフトを組んでおり、常に一定数の人員を配置しています。
勤務している障害者の仕事の割り振りは、個人の障害レベルや他者とのコミュニケーションレベルによって「カフェスタッフ、グッズ販売スタッフ、作業スタッフ」に振り分けています。
障害者も健常者と同じように仕事をしていく中で、スキルがどんどん上がっていきます。
その為、全ての状況を判断しながら、様々な仕事内容に付けるように適材適所に日々配置転換を行なっています。
カフェの外観
セルビア人は暖かくなると、友人や家族たちと外のテーブルでカフェを楽しみます。
カフェスペース
カフェの仕組み
我々のカフェでは、下記のことを重点的に取り組んだ営業をしています。
- 障害者のできることを尊重する
メニューは「無し」
こちらのカフェでは、毎日様々な障害レベルを持った人間が働いています。
そして彼らはとても真面目で一生懸命働いてくれています。
メニューを固定化してしまうと、人によっては作るレシピが難しく品質がまだらになったり、働く従業員にとってはストレスを感じてしまいます。
障害者たちは本当に真面目な性格な人が多い為、「これできる?」と訊くと自分のレベル以上に「できる」と回答をしたりして、多くの問題をうまく表現できずに自分自身で抱えてしまう傾向があります。
これらを避ける為に、あえて固定化したメニューは置かずに、その時に働いている従業員で対応できるメニューをお客様に提供するスタイルをとっています。
しかしながら多くのメニューは従業員も自信をもって作ることができます。
そして、当カフェでは提供物は飲み物のみで、食べるメニューは一切置いていません。
理由は2つあり1つ目は、我々は「障害者の自立」をメインで掲げている為、なるべく自分たちだけで協力して運営できるスタイルを採用しております。
「健常者と一緒に作る」のであれば調理は可能ですが、それでは我々の考えと一致しないことになります。
次に2つ目は、セルビアの飲食店開業基準では、調理した食べ物を提供するとなると日本とはまた違った様々な法律や規則を遵守する必要が御座います。
それらを達成することが「障害者の自立」を一番に考えた時に難しいハードルになります。
2つの理由から、当カフェではドリンクのみの営業をしています。
主なドリンクメニュー
- アメリカンコーヒー
- エスプレッソ
- ターキッシュコーヒー
- カフェラテ
- ホットチョコレート
- 紅茶各種
- 自家製レモネード
- ソフトドリンク
など
お会計は全て寄付システムを採用
当カフェにはメニューがないのと同時に、お会計を行うシステムがありません。
日本の障害者カフェやレストランの場合、多くが一般店より安い価格でサービスを提供しています。
そして寄付といえば募金やクラウドファンディングが主流ですが、セルビアではヨーロッパということもあり、
日本よりも寄付に対する抵抗があまりありません。
その為、当カフェでは「完全な寄付制度」を導入し、お客様のお寛ぎ頂けるテーブルに、我々の団体マークである「ハート型の寄付箱」を設置しております。
お客様には我々従業員がおもてなししたサービスや、団体として応援したいといったお気持ちとして寄付を頂いています。
もちろん寄付ですので金額は問いません。
頂いた寄付金は、団体の運営や障害者教育への投資として使用させて頂いております。
このようなシステムが出来るのもセルビアというお国柄だと感じております。
イベント会場として貸切
マスメディアによる撮影
日本には数多くの障害者が働く会社や飲食店が御座います。
しかしセルビアにはそういった仕組みがまだ少ないのが実情です。
その為、日頃からカフェには国営・民営問わずにマスメディアによるインタビューや撮影が行われています。
こうしたメディアを使ったプロモーションのおかげで、多くの新規のお客様が日々カフェに遊びに来て頂いています。
学校の社会見学
当カフェでは、学校や企業様からの社会見学や視察を受け付けております。
特に子供達が障害者のことを良く知る上で、このカフェ・ワーキングショップへ訪れることは非常に有意義で、好評を頂いております。
事前にご予約頂くことで、その時間帯は貸切対応が可能です。
そして必要があればCEOや本部スタッフによる、団体の歴史や活動内容といった講話をしております。
特にCEO講話はご好評を頂いており、多くの団体様が希望をされている状況です。
スイス日本人学校の社会見学
セルビア国内の幼稚園〜大学まで、様々な年齢層の生徒様達が当カフェに遊びに来てくれています。
そしてそれはセルビア国内だけに留まらず、スイスにある日本人学校の生徒様も遊びに来てくれています。
特に海外の学校関係のお客様は、セルビアにお越しいただいた際に当団体を社会見学ルートの一つとして、カリキュラムを組まれているケースが多いです。
こういった海外のお客様が社会見学としてお越しいただいた際は、国の違いから見える様々な問題点などを、意見交換として頂いております。
そして改善できるところはすぐに改善を行い、日々カフェの向上に努めています。
今後も日本からの受け入れや、我々団体を受け入れてくださるような日本の団体様をお待ちしております。
昼食の準備
カフェには設備の整った大きなキッチンスペースが御座います。
こちらではその日の当番が出勤している従業員の昼食を作ります。
殆どの工程は障害者従業員達が手分けして作業にあたるので、本部スタッフが手助けすることは殆どありません。
障害レベルの大小で同じように作業できない従業員であったとしても、何かできる作業を考えて行っています。
今では多くの従業員が、料理を通じて一人作業が出来るようにまで成長しています。
料理を作った後はテーブルを囲んで皆んなで食べる楽しみを共有しています。